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2015年09月30日
【試合レポート】2015明治安田生命J2リーグ第34節コンサドーレ札幌戦

試合レポート

 J2第34節アウェー札幌戦。ザスパは19本ものシュートを打たれながらも6試合ぶりに無失点を達成し、0−0で引き分けに持ち込んだ。今季ワーストの4連敗という苦しい状況で迎えた一戦だっただけに、服部浩紀監督は「我々にとって意味のある勝ち点1だった」とドローによる連敗脱出を前向きにとらえた。
 4連敗中で、さらに3試合連続3失点を喫しているザスパ。チーム内の空気は重く、難しい状況で札幌戦を迎えた。しかし、これ以上連敗の連敗は絶対に許されない。とにかくがむしゃらに、強い気持ちでチーム一丸となって試合に臨んだ。
 前節は2‐3で劇的な逆転負けを喫したものの、2位磐田を瀬戸際まで追い詰めた。服部監督はその試合に手ごたえを感じていたのだろう。3連戦の最終戦にも関わらず、この日は4日前と同じメンバーをスタメンに送り出した。ホーム連戦となった札幌が前節から6人を入れ替えてきただけに、服部采配の大胆さが際立った。
 疲れを度外視したこの選択が吉と出るか凶と出るか。試合は立ち上がりから札幌が一方的に攻め込む展開となった。自陣でのプレーが続くザスパは、守備陣を中心に集中した守りで対応。前節同様、守備からリズムをつくる戦術で粘り強く戦った。
 開始1分、MF吉濱遼平のサイドチェンジからMF小林竜樹がクロスを供給し、最後はFW江坂任がヘディングシュート。両チーム合わせて最初のシュートこそザスパが放ったものの、その後はなかなかチャンスを作れない時間帯が続いた。
 3分にはFKからPA内でシュートを被弾。9分にもPA内で札幌MF小野伸二にボレーシュートを許した。札幌ペースで試合が進んだが、この日のザスパは決して守備の集中力を切らさなかった。自陣深くまで入り込まれても、危ない場面ではしっかり体を張ってブロック。シュートコースをうまく消し、決定的なシーンを作らせなかった。ボールは圧倒的に相手に保持されたが、ピンチらしいピンチをつくらせずに耐え続けた。
 守るザスパと攻める札幌。試合はそんな構図のまま前半終盤へ。40分、開始1分の江坂のヘディング以降、シュートまで至らなかったザスパに、ワンチャンスが訪れた。右サイドでMF黄誠秀が起点を作ると、攻撃参加したMF坂井洋平が江坂とのワンツーからバイタルエリアへ侵入。折り返しのパスを利き足の左足でシュートを放ったが、惜しくも枠を外れた。このチャンスを逃すと、その後は再び耐える時間帯となり、しぶとく守ってスコアレスで折り返した。
 シュート2本に終わった前半だが、ハードワークを徹底し続けた45分間に、服部監督は「よく粘れている。後半もこれを続けていこう」と選手を鼓舞。選手たちも互いに気持ちを高めあい、勝負の残り45分間に臨んだ。
 後半こそ自分たちのペースで戦いたいザスパだったが、ボールを札幌に支配される展開は一向に変わらなかった。むしろ序盤から前半以上に自陣に押し込まれる時間が続いた。5分にはバイタルエリアでパスを回され、最後は札幌・小野のミドルシュートを被弾。これはわずかにクロスバーを越えたが、あと一歩で失点という危ない場面を招いた。そして9分には、PA内でパスを回され、最後は札幌MF石井謙吾にゴールネットを揺らされたが、これはオフサイドの判定。13分には札幌MF前貴之にミドルシュートを浴びたが、粘り強い守備を継続して失点を免れ、好機をうかがった。
 13分、ついにビッグチャンスが訪れた。DF小柳達司のグラウンダーのクロスを供給すると、中央の江坂が相手DFを背負いながら右足でシュート。これはうまくミートできなかったが、浮き球となったボールがPA内の黄誠秀の下へ渡り、ダイレクトで右足を振り抜き、ゴールに流し込んだ。劣勢の中でワンチャンスを決める、してやったりの展開かと思われたが、惜しくもオフサイドの判定。リードすることはできなかった。
 この後はなかなか思うようにチャンスをつくれないザスパ。ボール奪取からの素早い切り替えで、カウンターを仕掛ける場面は何度かあったが、この日は前線のイメージの共有が今一つ。特に今季のチームの最大の武器である江坂と吉濱の2人がかみ合わず、動き出しとパスがずれる場面が目立った。これまで2人の連係プレーで数多くのチャンスを作ってきただけに、2人の不調はそのままチームの攻撃に影響し、決定機を作れなかった。
 一方で、この日は最後まで守備の集中力が切れなかった。特に札幌の攻撃の起点であるFWナザリトをDF乾大知が徹底マーク。パスが入ったらすぐに体を当て、自由にプレーをさせなかった。思うようにいかない状況に、終盤にはナザリトが苛立つしぐさを見せるほどだった。
 この試合、最大のピンチは37分。自陣PA内で相手のシュートブロックに入った青木がハンドと判定され、PKを献上した。粘り強い守備を継続し、コースを消しに入ったからこそのファウルだっただけに、青木を攻めることはできなかった。「(青木)良太さんがしっかりブロックにいっていたからこそ、ハンドという判定になってしまった。そういう選手のためにもPKは絶対に止めたかった」とGK富居大樹。気持ちを高めてPKに臨むと、相手のキッカーはナザリトだった。38分、コースを読んだ富居は、右に飛んだ。ナザリトのキックも同じ方向に飛んできた。セーブすることはできなかったが、失点もしなかった。焦りか、苛立ちか、ナザリトのシュートは、クロスバーを大きく超えていった。
 アディショナルタイムを含めると、残り時間は約10分。この日のザスパは、最後まで集中していた。2戦連続同じスタメンにも関わらず、服部監督は試合終盤まで選手交代を行わなかった。その理由を「守備の面でこちらの狙い通りのことができていた。代えない方が流れがいいのではないかと考えた」と説明。選手たちも連戦の疲れなど微塵も感じさせず、一人一人が最後までハードワークを徹底し、指揮官の起用に応えた。前後半合わせて放ったシュートは計3本だけだったが、チーム一丸となった粘り強い戦いで勝ち点1をもぎ取った。
 大いに価値のある引き分けだった。MF松下裕樹が「苦しい試合になった中でみんなで粘り強く戦って、勝ち点1をなんとかもぎ取れたことをポジティブに考えたい」と強調したように、連敗脱出はチームの何よりの良薬だ。
 一方で、松下が「個人のプレーやスキルについては、修正すべき点はいっぱいある」と話したように、ハードワークや球際は最低限のベースとして、その上で何ができるかという積み上げの部分については、まだまだ多くの課題を抱えている。ゴールを奪えなければ勝利はないだけに、特に江坂と吉濱のコンビに変わる新たな得点源の確保は急務だ。
 「今、我々は上にも下にも行く可能性のある状況。勝ち点1をプラスにできるように、チームとしてもう一度一丸となって戦っていきたい」と服部監督。その言葉通り、今季の残り8試合で少しでも勝ち点を積み上げ、来季に希望をつなぎたい。



【結果】
ザスパクサツ群馬 0‐0 コンサドーレ札幌

会場:札幌ドーム

9月27日(日)13時00分キックオフ
前半 0−0
後半 0−0

詳しくは
http://www.thespa.co.jp/game/2015/game/150927.html
をご覧下さい。

本件に関するお問合せは(株)草津温泉フットボールクラブ 広報部
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