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2015年08月18日
【試合レポート】2015明治安田生命J2リーグ第29節ツエーゲン金沢戦
試合レポート
ラストワンプレーでの決勝ゴール。誰がそんな劇的な結末を予想していただろうか。ザスパがエースFW江坂任のアディショナルタイムの決勝点で金沢に1−0で勝利し、今季4度目の2連勝を飾った。これぞまさに“ザスパ劇場”。文字通りのドラマティックな勝利に、正田スタは今季一番の熱狂に包まれた。
前節、アウェーでの讃岐戦に辛勝し、上昇ムードでホームに戻ってきたザスパだが、今節はMF松下裕樹主将とMF吉濱遼平の主力2人が出場停止。攻守の鍵を握る選手を欠き、チームの底力が試される一戦となった。対する金沢はJ2昇格初年度ながら一時首位に立つなど、リーグに旋風を巻き起こした前半戦の勢いに陰りが見え始め、最近は9試合勝利なし。J1昇格プレーオフ圏内ギリギリの6位に踏みとどまってはいるものの、今節を落とすと一気に中位に飲み込まれるという状況で試合を迎えていた。
最初の見どころはザスパのスターティングメンバー。主力2人を欠いた状況でどんなメンバーを組むのかが注目されたが、開幕からここまで全試合スタメン出場だった大卒ルーキーの江坂がベンチスタートで、MF黄誠秀、MFアクレイソン、MFオリベイラ、FW野崎桂太の4人をスタートから起用。服部浩紀監督は思い切った采配で試合に臨んだ。
開始後、服部監督のさらに大胆な戦術が明らかに。センターバックが本職のDF青木良太を野崎との2トップに配置し、立ち上がりからパワープレーに打って出た。「入り方を大事にしていて、大きいことをやろうと思っていた。それである意味、奇襲作戦ということで、高さのある彼(青木)を時間限定で前に使った」と服部監督。10分間限定の奇策は結果的にゴールにつながることはなかったが、青木が前線でためを作って起点となる場面も複数回あり、今後のオプションの一つとして可能性を感じさせた。
序盤、やや優勢に進めていたザスパだったが、10分過ぎから相手にボールを保持される時間が増えていった。ただ、落ち着いた守りで対応し、15分、21分と連続してミドルシュートを許したものの、ボールは大きく枠をそれ、それほど危ない場面にはならなかった。
ザスパの最初のチャンスは24分、バイタルエリアでパスを受けた野崎がワンタッチでDFラインの裏へ流すと、抜け出した黄誠秀がライン際から野崎へ折り返し。野崎のシュートは相手DFに当たって勢いをそがれたが、GK前にこぼれたボールにMF小林竜樹が素早く反応し、惜しいシュートを放った。
このプレーでリズムをつかみたいザスパだったが、その後は再び金沢ペースに。相手にボールを握られ、自陣でプレーする場面が続いた。それでもピンチらしいピンチはなく、DFラインの集中した守りが光った。
35分過ぎからはパスがつながりはじめ、敵陣深くまで入り込むシーンが増えていった。42分にはショートカウンターを仕掛け、黄誠秀の横パスからMFアクレイソンが枠内にグラウンダーのミドルシュート。ボールは相手GKの正面に飛んでネットを揺らすことはできなかったが、リズムのいい攻撃で相手ゴールを脅かした。46分にも黄誠秀がDFラインの裏へ抜け出し、野崎へ惜しいラストパスを送るなど、ゴールの予感を漂わせてハーフタイムに入った。
前半終盤の勢いそのままに、後半は立ち上がりから積極的に攻め込んだ。まずは3分、DF小林亮の縦パスから小林竜樹がワンタッチで浮き球のパスを送り、PA内で黄誠秀がフリーに。うまくミートできず、シュートは大きく枠の上にそれたが、連係の良さがゴールの可能性を感じさせた。6分にも自陣からパスをつないでMFオリベイラがミドルシュート。さらに8分、11分とオリベイラが立て続けに惜しいクロスを供給するなど、リズムのいい攻撃を続けた。
押せ押せムードが高まる中、服部監督は13分に黄誠秀に代えて江坂、20分に小林竜樹に代えてMF永井雄一郎、31分にオリベイラに代えてMFカイケと、次々に攻撃的な選手を投入。総力戦で1点をもぎ取りにかかった。だが、度重なる決定機にも、堅守の金沢のゴールをこじ開けられず。刻々と時間だけが経過していった。「自分たちがより多くのチャンスがありながらも、決めきることができずに終盤を迎え、最後は勝ち点1というのも想定していながらの戦いだった」と小林亮。スコアレスのままアディショナルタイムを迎えた。
第4審判の提示した残り時間は3分。見せ場は、最後に待っていた。
47分、自陣PA内で小林亮が懸命のディフェンスでボールを奪い、ハーフウェーライン付近のカイケへ。カイケからパスをもらった永井が粘り強くボールをバイタルエリアまで運び、左サイドのカイケへパス。カイケが素早い切り返しから鋭いクロスを供給すると、相手DFが懸命にクリアし、CKを獲得した。
この時点で時間は48分。カイケがコーナーにボールをセットした時には49分を迎えていた。まさにラストワンプレーだった。
カイケの右足から放たれたボールは、弧を描きながらPA内に密集する両チームの選手の頭上を越え、ファーサイドへ。落下点では、待ち構えたかのように、タイミングよくジャンプする江坂がいた。そして、思い切り首を振り抜き、頭でボールをとらえた。大きく揺れる白いゴールネット。その瞬間、この日一番のザスパサポーターの歓声が、スタジアムに響き渡った。
江坂はホームゴール裏スタンドの前に駆け寄り、体いっぱいのガッツポーズで喜びを表現。チームメートに祝福され、笑顔でゆったりと自陣に戻ると、金沢のキックオフとともに、終了のホイッスルが鳴った。
スタメンを外れた悔しさを結果で晴らした江坂はもちろん、チーム得点王をベンチスタートにし、モチベーションを高めた服部監督の采配が劇的勝利を呼び込んだ最大の要因だろう。小林亮が「出番のなかったメンバーが非常にいいパフォーマンスを出してくれたことはチームとしてもすごく大きい」と強調したように、冒頭に記した主力2人の出場停止の中、代わって出場したメンバーが期待通りの働きを見せたことも、ドラマティックな展開の呼び水となったことは間違いない。
そして何より、サポーターの力の大きさを感じずにはいられない試合だった。後半49分のカイケのCKの際、ザスパサポーターの迫力のある応援がスタジアムを包み、何かが起こる雰囲気を創り出していた。服部監督が記者会見で語った「サポーターの声援が最後の最後で、ああいう展開を呼び込んでくれた」という言葉の通り、サポーターの力でもぎ取った勝ち点3と言っても過言ではないだろう。
今季、3度挑んでいずれも失敗した3連勝の壁。4度目の挑戦で立ちはだかるのは、首位を独走中の大宮だ。「強いチームであることは間違いないが、きょうのような諦めないサッカーで戦いたい。サポーターのみなさんもぜひ、大宮まで足を運んでいただき、応援してください」と江坂。チームとサポーターが一体となって戦った先に、必ず大きな喜びが待っている。
【結果】
ザスパクサツ群馬 1‐0 ツエーゲン金沢
会場:正田醤油スタジアム群馬
8月8日(土)18時00分キックオフ
前半 0−0
後半 1−0
入場者数:3019人
詳しくは
http://www.thespa.co.jp/game/2015/game/150815.html
をご覧下さい。
本件に関するお問合せは(株)草津温泉フットボールクラブ 広報部
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