2015年08月25日
【試合レポート】2015明治安田生命J2リーグ第30節大宮アルディージャ戦

試合レポート

 アウェーNACK5スタジアム大宮で行われたJ2第30節。ザスパは首位を独走する大宮にチーム一丸となって挑み、勝利まであと一歩に迫る善戦を演じた。前半終了間際に奪ったエースFW江坂任の2試合連続ゴールを守りきることはできなかったが、失点は後半に与えたPKによる1点のみ。前半戦では完敗したJ1経験チームと対等以上に渡りあった。DF乾大知が「次につながる勝ち点1だった」と強調したように、チームとして手ごたえを感じるゲームとなった。
 前節、ホームでの金沢戦をアディショナルタイムの劇的ゴールで制し、今季4度目の2連勝で勢いを持って大宮の地に乗り込んだザスパ。服部浩紀監督は大宮対策としてスタメンにセンターバックのDF青木良太に代えて乾を送り込み、FWムルジャら屈強な大宮の攻撃陣の徹底マークを命じた。「相手は個の能力が高いので、FWの選手に起点をつくられないことを意識してプレーしていた」と乾。負傷交代した第21節徳島戦以来、8試合ぶりの先発出場となった中堅センターバックの出来が、この試合の大きなポイントとなった。また、攻撃面では出場停止明けのMF吉濱遼平がスタメンに復帰。もはや代名詞となった左足からの強烈なシュートにも大きな期待がかかった。対する大宮はMF家長昭博が2試合の出場停止中で不在。大黒柱の不在がどう影響するかにも注目が集まった。
 ザスパはここ数試合の安定した戦いの要因である守備ブロックをしっかり形成。守備からリズムをつくりつつ、前線からの積極的なプレスで立ち上がりから大宮ゴールに迫った。
 開始10分間でMFアクレイソンと江坂がシュートを放つなど、いいリズムで攻撃したザスパ。カウンターの応酬となる時間帯もあり、ピンチになりかけるシーンもあったが、守備陣の落ち着いた対応が光り、大宮に簡単にはビッグチャンスをつくらせなかった。
 ペースをつかみながら試合を進めると、13分に吉濱の左足が見せ場をつくった。ハーフウェーライン付近右サイドでパスを受けると、ドリブルでバイタルエリアまで侵入。MF小林竜樹がサイドへ流れて空いたスペースを突き、狙いすまして左足を振り抜いた。スピードのあるボールは緩やかに曲がりつつ、ファーサイドへ。わずかに枠を外れたが、第23節千葉戦のスーパーゴールの再現を予感させるシュートでスタジアムを沸かせた。
 さらに直後の14分にもチャンス。最終ラインの素早い寄せでボールを奪うと、一気にカウンターとなり、江坂がバイタルまで運んで左サイドのMFオリベイラへ。オリベイラが右足で折り返すと、そのボールに江坂が飛び込んだ。惜しくもシュートには至らなったが、足が触れていればゴールという場面だった。
 その後もザスパは高いDFラインを保ってコンパクトな守備陣形で大宮の持ち味を封じ、自分たちのペースで試合を進めた。小林竜樹が運動量豊富に中盤のスペースを埋めて相手にプレッシャーを掛けると、最終ラインは乾を中心に球際で激しく戦い、相手の攻撃の芽を摘んだ。ただ、ボールを奪った後の攻撃が単発で、なかなか決定機をつくれなかった。
 前半はスコアレスで後半勝負。そんな予感は、いい意味で外れた。45分、左サイドでのCKだった。オリベイラがゴールに向かうカーブの掛かったボールをファーに送ると、江坂がドンピシャのタイミングでヘディングシュート。華麗にゴールネットを揺らして見せた。マークした相手DFを巧みにかわす動きも光り、2試合連続のCKからのゴールでリードを奪った。
 リードして迎えたハーフタイムも、チームに浮かれた様子は全くなかった。服部監督は「さらにハードワークを徹底しよう。やるべきことをやり続けよう」と前半の戦いの継続を指示。選手たちも互いを鼓舞して士気を高め、再びピッチに向かっていった。
 後半、立ち上がりから大宮が前掛かりになって攻め込んできたが、粘り強く守るザスパは簡単には突破を許さなかった。相手にボールを保持される時間は長くなったが、体を張った守備で危ない場面を未然に防いだ。
 後半もいいリズムで守り続けるかと思われた10分過ぎ、ワンプレーで試合は振り出しに戻った。大宮FWムルジャにDFラインの裏を突かれてPA内に侵入されると、飛び出したGK富居大樹がムルジャを倒したとしてPKの判定。12分にこのPKを決められ、1−1の同点に追いつかれた。
 今季ここまで3度挑戦し、そのたびに失敗している3連勝。4度目の挑戦となったこの日、首位チームを相手にしながらも、引き分けでは納得しない服部監督は貪欲に勝利を求めた。15分にMF永井雄一郎、28分にMF黄誠秀、40分にMFカイケと立て続けに攻撃的なカードを切り、勝利への執念を示した。
 指揮官の熱い気持ちに応えるように、ピッチ上の選手も躍動。17分には永井がドリブルで右サイドを深く突破すると、折り返しから江坂がボレーシュート。その後も終盤まで運動量を絶やさず、何度もカウンターを仕掛けて追加点のチャンスをうかがった。
 アディショナルタイムの4分、オープンな展開で両チームが果敢に攻め続けたが、新たなゴールは生まれず。1−1のまま試合終了のホイッスルを迎えた。
 首位相手に勝ち点1を奪ったことは、敵地での試合を考えても十分な結果といえるだろう。それでも服部監督は「勝ちに行って勝つことができなかったことが本当に悔しい」と感情をあらわにし、あくまで勝利という結果にこだわっていたことを強調した。選手も試合内容に一定の手ごたえを感じつつも、引き分けに終わった悔しさの方が大きい様子で、富居は「正直、勝てた試合だと思う。PKで同点になってしまって、本当に申し訳ない」と話した。
 チーム力の高さを示す価値のある勝ち点1だったことは間違いない。その上で勝ち点3には何が足りなかったのかをチーム、個人が追求していくことができれば、このチームはさらなる成長を遂げるに違いない。そんな期待を抱かせるに十分な、見ごたえのある敵地でのドローゲームだった。



【結果】
ザスパクサツ群馬 1‐1 大宮アルディージャ

会場:NACK5スタジアム大宮

8月23日(日)18時00分キックオフ
前半 1−0
後半 0−1

詳しくは
http://www.thespa.co.jp/game/2015/game/150823.html
をご覧下さい。

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